介護食作りインストラクターの資格は、理想的な介護食を作るノウハウや高齢者特有の食事に関する注意点やケア方法など幅広い知識を習得し、介護食作りインストラクターとして実際に活動できるレベルに至っている事を認定する資格です。
今後さらに進む高齢化・介護社会を見据えて、福祉業界を考えている人や、家庭で介護が必要な人にとって需要が高い資格といえます。
介護食作りインストラクターの資格を取得すると、老人ホームや福祉施設で働く際や、自宅やカルチャースクールで講師活動の際のサポートとなります。
この記事では、介護食作りインストラクターの資格取得で身につけられる学習内容を少し詳しくまとめています。
季節の食材を盛り込んだ料理
介護食でも日本特有の四季を味わえる季節の食材を盛り込んだ料理を食べたいと思うものです。
季節の食材をいかに上手に介護食に取り込めるのかがポイントです。
高齢者でも食べやすいレストランのメニュー
食事は、人間が生きていく上で栄養を摂り入れ健康的に活動するためだけではなく、食べたいものを美味しく食べられることは楽しみであり、生活の質をより良くします。
食事で味わえる楽しみがなくなると、たちまち食べることが楽しくなくなってしまい、日々の生活が味気なくなってしまいます。
高齢になっても日々の食事を楽しめるよう、豊かな食生活ができるように介護食というものがあります。
介護食とは
食べる力が弱まっている方でも安心して食べられるように、調理法や味付けを工夫した食事のことをいいます。
介護食には、刻み食、ゼリー食、ミキサー食などがあります。
歯で噛める、歯茎で噛める、舌で潰せる、飲み込めるなど、嚥下能力に応じて段階が細かく分かれており、それぞれの状況に応じて変えています。
高齢者における食事の問題
高齢になってくると噛む力や飲み込む力が弱くなり、硬いものや一度に飲み込む量が少なくなります。
嚥下能力に合っていない食事は、気管に誤って食べ物が入ってしまうことがあり、そこから誤嚥性肺炎を引き起こすことがあります。
若い方と全く同じような食事は高齢者にとって食べづらく、安全とはいえません。
高齢者が多く来店するレストランでは、高齢者にとって食べやすいメニューが用意されていると、喜ばれるにちがいありません。
高齢者向けの食事の工夫
- ご飯は通常の水加減よりも多くし柔らかめのご飯にする。
- 野菜やいも、根菜類はしっかりと火を通し、柔らかく煮る。
- お肉は、ヒレのような繊維が柔らかく脂身の少ない部分を使用する。
- タンパク質が不足しがちな高齢者の方でも、食べやすい豆腐などで質の良いタンパク質を摂取できるようにする。
- 薄味にする。
このように高齢者でも安心して美味しく食べやすいメニューがあれば、レストランでも楽しく食事ができます。
血糖値や塩分濃度が気になる方向け
高齢者の中には、糖尿病や生活習慣病で血糖値や塩分を気にしている方も多くいます。
糖尿病の方は、高血糖を防ぐことが大切で食事の摂り方、食材選びが重要になります。
食事と血糖値への配慮
血糖値が気になる方は食事の際、スープや食物繊維の多い野菜を先に食べ、次にメインの肉や魚を食べます。
最後に血糖値を上げやすい糖質のご飯を食べるなど、食事の摂り方次第で急激な血糖値の上昇が防がれることになります。
ご飯の量を減らし、筋肉や血液の素となる肉や魚、大豆などのタンパク質を積極的に摂ることで、若々しい身体を保てるのです。
さらに、消化のしやすい白米やうどんではなく、食物繊維が多く栄養素的にも豊富な雑穀や玄米、そばや全粒粉を使用したパンを摂り入れると血糖値・栄養面でも良いです。
食事と塩分への配慮
塩分が気になる方は、塩、しょうゆ、ソースにみそなど、塩分が多く含まれる調味料の摂り過ぎに気を付けなくてはいけません。
いつも濃い目の料理を食べていた方にすると、薄味の食事は、味気なく美味しく感じられないかもしれません。
そんな時は、レモンや柚子などの果汁、酢で酸味を利用したり、昆布やカツオ、いりこ、干し椎茸のダシでうま味を上手に利用したりなど、素材の美味しさを引き出す調理法にすると、満足感が増して良いです。
近年スーパーなどで減塩のしょうゆやみそが数多く並んでいるので、活用してみてはいかがでしょうか。
塩分に気を付け薄味の料理にすることで、健康に良いだけでなく食材そのものの味に敏感になり、食事が楽しくなります。
高血圧・透析患者向けの食事への気遣いも
高齢になるにつれ、高血圧の方や透析が必要な方が多くなってきます。
高血圧の方も透析患者の方も塩分の摂り過ぎに注意が必要です。
塩分の摂り過ぎはのどの渇きを促進させ、水分の摂りすぎに繋がります。
透析患者は血液中の水分量が増えると血圧が上がり、高血圧になります。
簡単に調理ができて美味しいため、よく利用する食材である練り製品やハムやウインナー、缶詰めなどにも多くの塩が使われていることを理解しておきましょう。
食材を選ぶ際には、食品を製造する時に使われる塩分の量も気にしながら美味しく食べられるメニューを心掛けましょう。
このように、高齢者の食事には配慮すべきことが少なくありません。
高齢者でも楽しく食事を楽しめるようにするために、介護食作りインストラクター資格の取得で得られた知識は、様々な場面で役立てられるでしょう。